ランドクルーザー、アルファード、レクサスといった人気車種を中心に、車両盗難は依然として高い水準で発生しています。そうした状況の中で急速に普及したのが、イグラ(IGLA)というデジタルイモビライザーです。
「イグラを付けておけば安心ですよね?」
「知人から、配線を弄らなくていいイグラがおすすめだと聞きました」
「SNSで最強と噂のイグラ2+を検討しています。これで大丈夫でしょうか?」
最近、私たちのお店へのお問い合わせでも、このように聞かれることが増えました。ネットやSNS、あるいはご友人から「イグラで安心」という言葉を耳にし、それを確かめるためにご連絡くださる方が多いのだと思います。
ミラージュオートアラームは、創業29年、累計25,000台以上のカーセキュリティの施工を行ってきた専門店です。イグラも取り扱っています。そのうえで正直に申し上げると、この質問に「はい」とだけお答えすることはできません。いまのイグラの語られ方には、専門店として違和感を覚える部分があるからです。
この記事はイグラを否定するものではありません。イグラは、役割の範囲において有効な製品です。ただ、その「役割の範囲」がどこまでなのかが、あまり語られていません。
この記事では、イグラという製品を可能な限り正確に解説したうえで、何が防げて何が防げないのか、どういう弱点があるのか、他の方式と何が違うのか、価格はどのくらいか、どこで取り付けるべきか、をお伝えします。
読み終えたときに、イグラに対する期待値が正しい位置に置き直されていれば、この記事の目的は果たせたことになります。
この記事で分かること
・イグラの仕組みと、シリーズ各製品の違い
・イグラが防げる盗難手口と、防げない被害
・専門店の立場から見たイグラの2つの弱点
・クリフォード・パンテーラなどアナログ式との構造的な違い
・価格帯と、予算別の現実的な選び方
・取り付けを依頼する店の選び方
Contents
- 1 1. イグラとは何か|仕組みと機能
- 2 2. イグラシリーズの全製品と、その違い
- 3 3. 組み合わせるオプションと、その役割
- 4 4. 「イグラ2 盗難された」で検索する人へ
- 5 5. なぜイグラは実力以上に評価されやすいのか
- 6 6. 専門店の立場から見た、イグラの2つの弱点
- 7 7. 手口別|何が防げて、何が防げないのか
- 8 8. デジタル式とアナログ式は何が違うのか
- 9 9. デメリットと評判
- 10 10. 価格と予算別の選び方
- 11 11. 取り付けはどこに頼むべきか
- 12 12. 駐車環境別・車種別の推奨構成
- 13 13. イグラの使い方とトラブル対処
- 14 14. よくある質問
- 15 15. ミラージュオートアラームについて
1. イグラとは何か|仕組みと機能
開発元 AUTHOR ALARM(オーサーアラーム)という会社
イグラを製造しているのは、ロシア・モスクワに本社を置くカーセキュリティメーカー、AUTHOR ALARM(オーサーアラーム)です。イグラは同社の主力製品で、日本には数年前から本格的に入ってきました。現在では取扱店が急速に増え、カーセキュリティの中では最も名前を聞く製品のひとつになっています。
イグラは「デジタルイモビライザー」という製品カテゴリ
まず最初に押さえていただきたいのは、イグラは「カーセキュリティ」という言葉で一括りにされがちですが、正確には「イモビライザー」に分類される製品だということです。
イモビライザーとは、正規の認証が行われない限りエンジンを始動させない装置のことです。一方、一般に「カーセキュリティ」や「アラーム」と呼ばれるものは、侵入や衝撃を検知して警報を鳴らす装置です。
役割が違います。イモビライザーは「エンジンをかけさせない」ための装置であり、警報装置は「異常を知らせて威嚇する」ための装置です。イグラ2は前者であり、後者の機能は持っていません(警報機能を追加したモデルがイグラアラームです。第2章で解説します)。
この区別は、記事全体を通して最も重要な前提になります。
どうやってエンジン始動を止めているのか
現代の車は、エンジンやトランスミッション、ボディ系の各コンピューターがCAN通信と呼ばれるネットワークで結ばれ、互いに信号をやり取りしながら動いています。
イグラはこのCAN通信を利用し、正規の認証が済んでいない状態では、エンジン始動に必要な信号の流れを止めます。車両の配線を物理的に切断するのではなく、信号のレベルで「エンジンをかけるな」という状態を作り出している、と理解していただくと分かりやすいと思います。
そのため、施工時に純正配線を切断する必要がありません。この点はイグラの大きな特徴であり、後述するメリットとデメリットの両方につながっています。
認証の3つの方法
イグラの認証には、3つの方法が用意されています。
1つめはPINコードです。ステアリングスイッチなど、車に元から付いているスイッチ類を、あらかじめ決めた順番で操作することで認証します。専用の装置を車内に増設する必要がなく、外から見ても認証操作をしていることが分かりにくいのが特徴です。
2つめはキーフォブです。専用の小型認証キーで、これを持って車に乗り込めば自動的に認証されます。普段の運転ではこの方法が最も手間がかかりません。
3つめはスマートフォンによる認証です。専用アプリを使い、Bluetooth経由で認証を行います。
どの方法を主に使うかは、オーナーの使い方に合わせて選べます。
普段の使い方はどうなるか
「毎回PINコードを入力するのは面倒ではないか」というご質問をよくいただきますが、キーフォブを携帯していれば、乗り込んで普通にエンジンをかけるだけです。特別な操作は必要ありません。
PINコードは、キーフォブを持っていないとき、あるいはキーフォブの電池が切れたときの予備手段として使う、と考えていただければ実態に近いです。
施工にかかる時間と、対応車種の考え方
イグラは車種ごとに設定データが用意されており、対応車種であれば施工自体は数時間で完了します。国産車を中心に幅広い車種に対応しており、ランドクルーザーやアルファード、レクサス各車といった盗難多発車種はほぼ対応しています。
ただし、ここでひとつ申し上げておきたいことがあります。「数時間で付けられる」ことと「数時間で適切に付けられる」ことは別です。この点は第11章で詳しく触れます。
配線を切らないことのメリットと、その裏側にあること
純正配線を切断しないという特徴は、いくつかのメリットを生みます。施工痕が少なく、車両への負担が小さいこと。ディーラー入庫時に純正配線の改変を指摘されにくいこと。取り外しや乗り換え時の移設が比較的容易なこと。
一方で、配線を切らずに信号で制御しているということは、システムそのものが車両の回路に「組み込まれている」わけではない、ということでもあります。この構造上の特徴が、専門店として指摘しておきたい弱点につながります。第6章で改めて説明します。
ご自身のお車がイグラに対応しているか、どの構成が適しているか、まずはお気軽にご相談ください。
2. イグラシリーズの全製品と、その違い
イグラには複数のモデルがあり、名前が似ているため混同されがちです。ここで整理します。
シリーズ一覧
イグラ2
・警報機能:なし
・位置づけ:シリーズの基本モデル
・価格帯目安:本体+工賃で「10万円前後」
・向いている人:エンジン始動阻止を最優先し、コストを抑えたい方
イグラ2+(イグラ2プラス)
・警報機能:なし
・位置づけ:イグラ2にキーフォブが付属したパッケージ
・価格帯目安:本体+工賃で「11万円前後」
・向いている人:家族で1台を共有する方、PIN操作を減らしたい方
イグラアラーム
・警報機能:あり
・位置づけ:イモビライザー機能に警報機能を統合した上位モデル
・価格帯目安:本体+工賃で「22万円前後」
・向いている人:始動阻止だけでなく、侵入や車上荒らしにも備えたい方
イグラプレミアムJP
・警報機能:あり
・位置づけ:イグラ2にサイレン機能を追加したもの。ただしキーフォブやセンサー類はなし
イグラ2
シリーズの基本となるモデルです。認証はPINコード、キーフォブ、スマートフォンの3方式に対応します。エンジン始動の阻止に機能を絞っており、警報機能はありません。
「必要最低限で、確実にエンジンをかけさせない」という目的であれば、このモデルが起点になります。
イグラ2+(イグラ2プラス)
イグラ2との違いは、認証用キーフォブの付属本数です。
機能面での差はなく、価格差も大きくないため、キーフォブが必要かどうかで判断していただければ十分です。
イグラアラーム
イグラ2の始動阻止機能に、警報機能を加えたモデルです。ドアの開閉や衝撃を検知するとサイレンが鳴り、周囲に異常を知らせます。
第1章で「イグラ2には警報機能がない」と申し上げましたが、それを補うのがこのモデルです。侵入そのものを防ぐわけではありませんが、侵入された時点で音が鳴るため、犯行を継続しにくくする効果があります。
価格帯はイグラ2の約2倍になります。この価格帯になると、後述するアナログ式のセキュリティも選択肢に入ってくるため、比較のうえで検討されることをおすすめします。
イグラプレミアムJP
イグラ2にサイレン機能を追加したものです。ただし、キーフォブやセンサー類はありません。
どのモデルが誰に向いているか
・とにかく始動を止めたい、予算は抑えたい → イグラ2
・家族で共有する、PIN操作を減らしたい → イグラ2+
・侵入や車上荒らしにも備えたい → イグラアラーム
・イグラアラームの予算が出せる → アナログ式との比較も検討(第8章・第10章)
3. 組み合わせるオプションと、その役割
イグラ本体だけで使うこともできますが、実際には何らかのオプションを組み合わせる方がほとんどです。主なものを役割とともに紹介します。
スキャナー(LED表示による抑止)
車内に設置する小型のLEDインジケーターで、点滅によって「この車にはセキュリティが付いている」ことを外部に示します。
イグラのオプションの中で最も多く選ばれています。理由は明快で、イグラは本体が小さく、外からは装着していることがまったく分かりません。抑止効果を持たせるには、何かしらの「見える印」が必要になります。
スキャナーの効果は「何が付いているか分からない」ことにあります。窃盗側から見れば、セキュリティの種類が特定できない車は、手を出すリスクが読めません。
キーレスブロック
スマートキーの電波を、車から離れた際に自動でオフにする装置です。
近年の盗難手口には、スマートキーの電波を中継・複製して車を開ける「リレーアタック」や「キーエミュレーター」があります。これらは「電波が出ていること」を前提にした手口なので、電波そのものを止めてしまえば成立しません。
イグラは「エンジンをかけさせない」装置であり、「車内に入らせない」装置ではありません。キーレスブロックを組み合わせることで、電波を利用した侵入を防ぎ、守備範囲を広げることができます。イグラの弱点を補う組み合わせとして、専門店が最も推奨するオプションです。
コンパス(GPS追跡)
万が一持ち去られた場合に、車両の位置を追跡するためのGPS装置です。
始動を阻止できても、積載車で吊り上げて運ばれた場合は車が移動してしまいます。その際に位置を把握できるのがコンパスの役割です。追加費用は「10万円前後」かかるため、予算にゆとりのある方や、特に盗難リスクの高い車種にお乗りの方が選ばれます。
その他のオプション
OBDポート経由での不正アクセスを防ぐOBDブロックなど、目的に応じたオプションが他にもあります。
実際にはどこまで付ける人が多いのか
正直に申し上げると、イグラを選ばれる方の多くは「イグラ本体+スキャナー」で止まります。センサーやオプションを多数追加される方は少数です。
これはイグラを選ぶ方の傾向として、コストを抑えたいという意向が強いことが背景にあります。それ自体は合理的な判断ですが、「イグラ本体だけで万全」ではないことは、ここで改めてお伝えしておきます。予算が許すのであれば、キーレスブロックの追加は検討する価値があります。
4. 「イグラ2 盗難された」で検索する人へ
この記事をお読みの方の中には、「イグラ2 盗難された」という言葉で検索してたどり着いた方も多いと思います。この検索は以前から毎月かなりの数が行われていましたが、2026年9月、実際にイグラを装着した車両が盗難された事例が、施工店ご自身の手で動画として公開され、さらに注目が集まっています。
まず、その動画をご覧ください。盗難発生から車両の引き取りまでの経緯が前編、戻ってきた車両の状態の検証が後編です。
(出典:「ランクル300が盗難被害?!この日起こった事の全てをお話しします。【前編】」)
(出典:同「【後編】」)
ここでは、この動画で何が起きたのかを整理したうえで、そこから何を読み取るべきかをお伝えします。なお、動画を公開された施工店の判断と行動には敬意を持っています。この章は施工店を評価するためのものではなく、イグラという製品を正しく理解するためのものです。
実際に起きたこと:イグラ装着のランドクルーザー300が、約1時間で持ち去られた
動画の内容を要約すると、次のような経緯です。
・車両はランドクルーザー300。イグラのベーシックモデル(警報機能のない、エンジン始動を止めるだけのタイプ)を装着していた
・オーナーがビジネスホテルの駐車場に夜間駐車。深夜2時頃から車の周囲で作業が始まり、3時頃に車が走り去ったことが防犯カメラに記録されていた
・翌朝、オーナーが盗難に気づく。施工店がSNSで情報を拡散したところ、その日のうちに一般の方が別の県の駐車場で車両を発見し、警察が確保した
・車両は戻ってきたが、内装の複数箇所が破壊され、シフトレバーやサイドブレーキが壊れ、警告灯が多数点灯する状態だった。ドライブレコーダーは引きちぎられ、車内のパソコンなど一部の物品は持ち去られていた
この事例は、施工した店ご自身が経緯と車両の状態を公開しています。ですから、私たちはこの記事で、イグラ装着車の盗難は「公開情報として確認されている」と申し上げます。
この事例から分かること1:イグラは、犯行を約1時間遅らせた
まず押さえていただきたいのは、イグラが何もしなかったわけではない、ということです。
防犯カメラの記録では、窃盗側は現場で約1時間作業をしています。セキュリティのない車であれば、数分で持ち去ることができるはずです。1時間手こずらせた、という事実は、イグラが機能していたことを示しています。
「イグラは効かない」と読むのは、この事例の読み方として正しくありません。
この事例から分かること2:それでも、発見されれば解除される
同時に、この事例は第6章でお伝えする弱点をそのまま示しています。
戻ってきた車両には、内装の複数箇所のパネルが外され、システムを探し回った形跡がありました。最終的に、エンジン始動に関わる部分でシステムを無効化し、エンジンをかけて走り去っています。
つまり、窃盗側は1時間かけてイグラを「探し出し」、見つけたうえで「解除した」ということです。イグラが車両の回路に組み込まれているのではなく、接続されている構造であることの帰結が、この事例に表れています。
また、今回のようにイグラが窃盗団に攻略され、突破されたという事実から、「イグラなら盗める」ということが窃盗団の間に周知されてしまう恐れがあります。そうなると、これまでのようにイグラのロゴスキャナーを装着していれば予防になる、という効果は薄れてしまうでしょう。
どこにどう設置されていて、どう無効化されたのかについては、防犯上の理由からこの記事では触れません。
この事例から分かること3:警報が鳴らないことが、1時間の作業を許した
この車両に付いていたのは、警報機能のないベーシックモデルでした。
場所はビジネスホテルの駐車場です。深夜とはいえ、宿泊客もいれば従業員もいます。そこで1時間、周囲に気づかれることなく作業が続いた。もし警報が鳴っていれば、誰かが気づいた可能性はあったと思います。
「警報が鳴らないため、窃盗団に探す時間を与えてしまう」。第6章の弱点2が、この事例では現実になっています。
施工店自身が振り返っていること
動画の後編で、施工店は率直な振り返りを語っています。要約すると、次の3点です。
・自分たちがお客様に案内した製品が適切だったのか、考え直す必要がある
・警報機能のある上位モデルであれば、周囲が気づいて止められた可能性はあった
・取り付け場所がマニュアル通りの簡易的なものだと意味がなくなるため、しっかりした取り付けができる店で施工すべき
私たちはこの施工店を批判する立場にありません。イグラは「エンジン始動を止める」という役割においては機能しましたし、SNSでの拡散によって当日中の発見に導いたのも施工店の行動です。事例を公開すること自体にも相当の覚悟があったはずです。ただ、施工店ご自身が「製品の選び方」と「取り付けの質」を振り返っているという事実は、イグラを検討している方にとって重い示唆だと思います。
イグラが止めているのは「始動」だけであり、手口そのものは止めていない
現在主流の盗難手口であるCANインベーダー、リレーアタック、キーエミュレーターは、いずれも「車内に侵入し、エンジンを始動させて走り去る」という流れで行われます。
イグラが関与するのは、この流れの最後の「始動」の段階だけです。侵入の段階には一切関与していません。今回の事例でも、車内への侵入自体はイグラと無関係に行われています。認証なしでエンジンをかけようとした時点で初めて働く、というのがイグラの役割です。
そして、この始動阻止も無条件ではありません。システムが発見されない状態で機能している、という前提があってのものです。今回の事例は、その前提が崩れたときに何が起きるかを示しています。
「イグラはCANインベーダーを防げる」という言い方を見かけることがありますが、正確には「侵入されても、始動は阻止できる(システムが発見されない限り)」です。この違いは決して小さいものではありません。
「車が戻ってきた」と「被害がなかった」は違う
もうひとつ、この事例が示していることがあります。
車両は幸いにも戻ってきました。しかし、内装は破壊され、走行系にも不具合が出ており、修理には相当の費用がかかる状態でした。オーナーは、戻ってきた車に愛着はなくなり、そのまま乗り続けることを選んでいません。車内の物品も一部失われています。
イグラは車内への侵入を防ぐ装置ではありません。窃盗団が車内に入り、システムを探して内装を壊す。エンジンがかからなければ立ち去り、かかれば持ち去る。どちらの場合も、車内は無事ではありません。
「エンジンがかからなかった」「車が見つかった」ことと、「無事だった」ことは、分けて考える必要があります。
この事例を踏まえて、私たちがお伝えしたいこと
イグラを付けていれば安心、とは言えない。しかし、イグラは無意味でもない。この事例は、その両方を同時に示しています。
イグラの防御力は、「システムが発見されるまでの時間」に依存します。その時間を延ばすのは設置の質であり、その時間の中で犯行を止めるのは警報であり、そもそも車内に入らせないのはキーレスブロックの役割です。イグラ単体で、これらすべてをまかなうことはできません。
第6章で、この構造上の弱点をもう少し詳しく説明します。
5. なぜイグラは実力以上に評価されやすいのか
イグラは有効な製品です。それでも私たちが「語られ方に違和感がある」と申し上げるのは、製品の実力と、世の中での評価との間に、少しずれがあるように感じるからです。そのずれがどこから生まれているのかを整理します。
取扱店が急速に増えたこと
イグラは車種別の設定データが用意されているため、専門店でなくても施工できる製品です。結果として取扱店が急速に増えました。
取扱店が増えれば、それだけ情報の出どころが増えます。多くの店がイグラを紹介し、多くの記事がイグラを勧める状況になれば、「これだけ勧められているのだから間違いない」という空気が生まれるのは自然なことです。
知人やSNSからの口コミで広がっていること
実際のお問い合わせでも、「知人からイグラがおすすめだと聞いた」「SNSで最強と噂されている」といった言葉をよく伺います。すでにイグラを付けた方が周囲に勧め、SNSで評判が広がる。
メーカーとしては望ましい広がり方ですが、口コミで伝わるのは「安心だった」「配線を弄らなくてよかった」という結論の部分であって、「何が防げて何が防げないか」という条件の部分は伝わりにくいものです。
「配線を弄らなくていい」が安心の根拠になっていること
口コミの中でも特に多いのが、「配線を弄らなくていいから安心」という言い方です。車に手を入れたくない、という気持ちはよく分かります。ただ、「配線を弄らない」ことと「防犯性が高い」ことは、別の話です。むしろ第6章で説明するとおり、配線を弄らない構造は、防犯性の面では裏返しの意味を持っています。
「これを付ければ安心」という表現が広く使われていること
イグラを紹介する情報の中には、「これで安心」「最強」といった表現が少なくありません。さらに「オプションを追加すればもっと安心」と続くことも多く、読んでいるうちに、イグラを付ければ盗難の心配から解放されるかのような印象が積み上がっていきます。
特定の店や広告を批判する意図はありません。ただ、業界全体の傾向として、イグラについては表現が先行している面があると感じています。
ハンドルロックと同じ感覚で語られてしまっている
少し極端な例えになりますが、「ハンドルロックを付けておけば安心」という感覚と似たものを感じることがあります。
誤解のないように申し上げると、イグラとハンドルロックでは防御のレベルがまったく違います。イグラのほうがはるかに有効です。ただ、「これさえ付けておけば」という語られ方の構造が似ている、ということです。
「イグラとパンテーラのセットが最強」という説はどこから来たのか
お客様からよく伺うのが、「イグラとパンテーラを両方付けるのが最強だと聞いた」というお話です。どこが発信元なのかは分かりませんが、かなり広まっている説のようです。
この組み合わせについては第8章で改めて触れますが、ここでは「そう単純な話ではない」とだけ申し上げておきます。方式の異なる製品を重ねれば強くなる、という考え方には、検討すべき点があります。
期待値を正しい位置に置き直す
イグラは「エンジンを始動させない」ための製品です。その一点に機能を絞り、配線を切らない方式で実現している。これはイグラの長所であり、同時にイグラの守備範囲でもあります。
守備範囲の外にあるもの、つまり車内への侵入、システムが発見された場合の耐性、積載車による持ち去り。これらはイグラの役割ではありません。「イグラで安心」と言うとき、この守備範囲の外まで含めて安心だと受け取られているとすれば、それは期待値がずれている、ということになります。
6. 専門店の立場から見た、イグラの2つの弱点
ここからは、専門店としてお客様に必ずお伝えしている、イグラの弱点についてお話しします。批判ではなく、製品の構造上の特徴として受け取っていただければと思います。
弱点1:システムを発見されてしまうと解除されやすい
第1章で、イグラは配線を切らずに信号でエンジン始動を止めている、と説明しました。この構造は、施工のしやすさや車両への負担の少なさというメリットを生む一方で、構造上の弱点も持っています。
イグラは、システムそのものが車両の回路に組み込まれているわけではありません。車両の回路に「接続されている」状態です。そのため、窃盗側がシステムの存在に気づき、本体や接続部を特定できた場合、システムを無効化することが比較的容易になります。
詳しい方法については、防犯上の理由からこの記事では触れません。ただ、「見つかれば解除されやすい」という性質は、専門店の間では共通の認識になっています。
弱点2:警報が鳴らないため、窃盗団に探す時間を与えてしまう
イグラ2には警報機能がありません。日常的にはこれは長所です。誤作動で近所に迷惑をかける心配がなく、集合住宅でも気兼ねなく使えます。
しかし犯行中に限って言えば、これは「窃盗団に時間を与える」ことを意味します。
車内に侵入され、エンジンがかからないことに気づかれたとします。そこで警報が鳴れば、窃盗側は周囲の目を気にして作業を続けにくくなります。警報が鳴らなければ、落ち着いてシステムを探すことができます。
弱点1と弱点2は、組み合わさることで意味が大きくなります。「見つかれば解除されやすい」システムを、「時間をかけて探せる」状況で守っている。これがイグラ2単体の構造です。
この2つを踏まえると、設置場所の選定が結果を大きく左右する
ここまでの話を整理すると、イグラの防御力は「システムが発見されるまでの時間」に大きく依存している、と言えます。
つまり、どこに、どのように設置するかが、製品そのものと同じくらい重要になります。分かりやすい場所に設置されたイグラと、車両構造を熟知した施工者が発見されにくい位置に設置したイグラでは、同じ製品でも結果はまったく違ってきます。
これは他メーカーの製品にも言えることです。
具体的な設置場所についてはこの記事では触れません。ただ、「イグラは、施工の質で防御力が大きく変わる製品である」ということは、はっきりとお伝えしておきます。
だからこそ「どこで付けたか」が問われる
同じイグラでも、どこで付けたかによって守れる範囲が変わる。これは、イグラを検討されている方に、私たちが最もお伝えしたいことです。施工店の選び方については、第11章で詳しく説明します。
「自分の車のイグラは大丈夫だろうか」と不安に感じられた方へ。他店で施工されたイグラの点検・ご相談も承っています。
7. 手口別|何が防げて、何が防げないのか
ここで、現在主流の盗難手口ごとに、イグラで何が防げて何が防げないのかを整理します。ポイントは、「車内への侵入」と「エンジンの始動」を分けて考えることです。
早見表
リレーアタック
・車内への侵入:防げない(キーレスブロックの併用で防止可能)
・エンジン始動:イグラで阻止
キーエミュレーター(ゲームボーイ)
・車内への侵入:防げない(キーレスブロックの併用で防止可能)
・エンジン始動:イグラで阻止
CANインベーダー
・車内への侵入:現状、防ぐ手段がない
・エンジン始動:イグラで阻止
ガラス破りなどの物理的侵入
・車内への侵入:どの製品でも防げない
・エンジン始動:イグラで阻止
積載車・レッカーによる持ち去り
・車内への侵入:(該当なし)
・エンジン始動:始動を伴わないため、イグラでは対応できない
※「イグラで阻止」と記載した項目はいずれも、システムが発見されていない状態であることが前提です(第6章参照)。
リレーアタック
スマートキーが発している微弱な電波を中継し、キーが近くにあるかのように車を騙して開錠・始動する手口です。
イグラを装着していれば、開錠はされても始動は阻止されます。ただし車内には入られます。キーレスブロックを併用すれば、電波そのものが出なくなるため、開錠自体を防げます。
キーエミュレーター(ゲームボーイ)
携帯ゲーム機のような見た目の装置を使い、スマートキーの信号を複製して開錠・始動する手口です。「ゲームボーイ」と通称されています。
リレーアタックと同様、イグラで始動は阻止できます。キーレスブロックの併用で開錠も防げます。
CANインベーダー
車両の外側からCAN通信の配線に直接アクセスし、不正な信号を送って開錠・始動する手口です。
イグラで始動は阻止できます。しかし、この手口は車両の配線に直接介入するため、現状では「侵入そのものを防ぐ」手段がありません。これはイグラに限らず、どの製品でも同じです。
ガラス破りなどの物理的侵入
窓ガラスを割るなど、力ずくで車内に入る手口です。
どれだけ高額なセキュリティを装着していても、物理的な侵入は防げません。これは製品の性能の問題ではなく、物理的な限界です。イグラは始動を阻止しますし、警報機能のあるモデルであれば侵入時に音が鳴りますが、侵入自体は止められません。
積載車・レッカーによる持ち去り
エンジンをかけずに、車両ごと積載車に載せて運び去る手口です。
イグラは「エンジンを始動させない」装置ですから、始動を伴わないこの手口には対応できません。対策としては、GPS追跡(コンパス)による事後の位置把握、あるいは物理的に移動を妨げる別の対策が必要になります。
「侵入を防ぐ」と「始動を防ぐ」を切り分けて考える
早見表を見ていただくと分かるとおり、イグラは「エンジン始動」の列ではほぼすべてを阻止していますが、「車内への侵入」の列ではほとんど防げていません。
これはイグラの欠陥ではなく、役割の違いです。侵入を防ぐのはキーレスブロックの役割であり、侵入を知らせるのは警報装置の役割です。イグラにその役割を期待するのは、はじめから的が外れています。
「イグラで安心」という言葉が正しいのは、「エンジン始動」の列に限った話である。ここは繰り返しお伝えしておきたい点です。
8. デジタル式とアナログ式は何が違うのか
ここまでイグラを中心にお話ししてきましたが、カーセキュリティにはイグラとは根本的に方式の異なる製品があります。クリフォードやパンテーラに代表される、アナログ式のセキュリティです。
イグラを正しく評価するためには、比較対象を知っていただく必要があります。
クリフォード・パンテーラが採用しているアナログ方式
イグラは、車両のコンピューターのプログラムに介入してエンジンを始動できないようにする仕組みで、「デジタルセキュリティ」と呼ばれます。配線はカットしません。
これに対してクリフォードやパンテーラは、熟練したインストーラーが配線そのものに手を入れ、アナログで介入してエンジンを始動できないようにします。エンジン始動に関わる回路を物理的に切断し、その間にセキュリティのイモビライザーを挟み込む方式です。「アナログセキュリティ」と呼ばれます。
つまり、車両の回路の中にセキュリティが「組み込まれた」状態になります。セキュリティが正規の認証を受けて回路をつなぎ直さない限り、エンジンは物理的にかかりません。
本体を発見された後に起きることの違い
ここが最も大きな違いです。
イグラの場合、第6章で説明したとおり、システムが発見されると解除されやすくなります。
アナログ式は、数十本の配線で構成されており、そのすべてをインストーラーが車両の隅々に1本1本手作業で加工し、接続しています。仮に1本切られてもびくともしませんし、すべて切断されたとしてもエンジンを始動することはできません。どの配線がどう接続処理されているかは、時間をかけて調べなければ分からないからです。
窃盗側から見れば、「本体を外せば終わり」なのか、「本体を外してもさらに分解と配線調査と再接続が必要」なのか。この差は、犯行に要する時間とリスクに直結します。
防犯度で比較すれば、デジタル式に比べてアナログ式のほうが比べるべくもなく圧倒的に強力であり、(レッカーなど物理的なものを除く)盗難は極めて困難です。これは私たちが、お客様からのご質問に対して常にお答えしていることです。
それぞれのメリットとデメリット
整理すると、次のようになります。
イグラ(デジタル式)
・メリット:配線を弄らない。リーズナブルに施工できる
・デメリット:システムが発見されると解除されやすい
クリフォード・パンテーラ(アナログ式)
・メリット:発見されても解除が極めて困難
・デメリット:導入コストが高い。施工できる店が限られる
どちらが良い悪いではなく、コストと防犯度のどちらを優先するか、という選択です。
「配線を弄る」ことへの不安について
アナログ式を検討される方から、「配線を弄ることで、あとから故障などのトラブルが起きないか」というご質問をよくいただきます。
配線を弄ることによるトラブルは、私たちの施工においてはございません。熟練したインストーラーが担当しますので、その点はご安心ください。
ただし、デジタル式・アナログ式にかかわらず、すべての製品に言えることですが、工業製品である以上、故障などの可能性はわずかながらございます。その際は私たちがしっかりとサポートしますので、重ねてご安心ください。
警報が鳴り続けるかどうかの差
アナログ式のセキュリティは盗難防止警報装置でもあります。窃盗側がシステムを探している間、警報は鳴り続けます。
イグラ2にはこれがありません。第6章の「弱点2」で触れたとおり、探す時間を与えてしまう構造です。イグラアラームであれば警報は鳴りますが、発見後の耐性はイグラ2と同じです。
施工データが公表されているか、店の技術に依存するか
もうひとつ、施工の面での違いがあります。
イグラは車種別のファームウェア(設定データ)が用意されており、それに従えば施工できます。これが取扱店の急増につながっています。
アナログ式は、施工に必要な情報が公開されていません。どの回路をどう処理するかは、施工店の技術力と経験に依存します。誰でも付けられる製品ではない、ということです。
これは、施工の難易度が高いという意味では欠点ですが、「施工方法が公開されていないため、窃盗側にも解除方法が知られにくい」という意味では、防御力に大きく寄与します。
同じ「セキュリティ」という言葉で括られているが、役割も方式も異なる
イグラとクリフォード・パンテーラは、同じ「カーセキュリティ」として並べられることが多い製品です。しかしここまでお読みいただければ、役割も方式もまったく異なる製品であることがお分かりいただけると思います。
どちらが優れている、という話ではありません。守備範囲が違い、発見された後の耐性が違い、価格帯が違う。そのうえで、自分がどこまでの対策を求めるのかで選ぶべき製品が変わる、ということです。
「イグラとパンテーラを両方付ければ最強」について
第5章で触れた説について、ここで補足します。
方式の異なる製品を2つ付けることで、確かに手間は増えます。しかし、アナログ式のセキュリティが適切に施工されていれば、発見後の耐性という点ではすでに十分な防御力を持っています。そこにイグラを追加することで得られる上乗せは、期待されているほど大きくありません。
強いて言えばセキュリティの入れ忘れ時に最後の砦として一定の効果が望めます。
むしろ、限られた予算の中で「両方付ける」ことを優先した結果、アナログ式の施工にかける予算や、キーレスブロックのような侵入対策が削られるのであれば、本末転倒です。組み合わせを考えるなら、「何を足すか」より「何を守りたいか」から逆算していただくことをおすすめします。
では、どちらを選ぶべきなのか
求める安心の度合いと、予算で決まります。第10章で予算別に整理します。
9. デメリットと評判
ここまでの内容を踏まえ、イグラのデメリットを整理します。専門店として、隠さずにお伝えします。
製品面のデメリット
1. 警報が鳴らない(イグラ2の場合)
侵入されても音が鳴りません。周囲への威嚇効果がなく、窃盗側に時間を与えます。
2. 車内への侵入は防げない
イグラは始動阻止の装置であり、侵入は防げません。車上荒らしや車内の損傷は起こり得ます。
3. 発見された場合の耐性がアナログ式とは異なる
配線を切らない構造の裏返しとして、システムが発見されると解除されやすくなります。
4. 積載車・レッカーによる持ち去りには別対策が必要
始動を伴わない手口には対応できません。
運用面のデメリット
5. 認証操作を覚える必要がある
キーフォブがあれば普段は不要ですが、PINコードの操作方法は把握しておく必要があります。
6. キーフォブの電池切れ・紛失への備えが必要
電池が切れた場合はPINコードで対応できますが、紛失した場合は再登録が必要です。
7. 車検・ディーラー入庫時に申告が必要
整備工場やディーラーがエンジンを始動できるよう、入庫時に解除方法を伝えるか、一時的に機能を停止(サービスモード)する必要があります。停止をしないと車検に通りません。
8. 売却・乗り換え時は取り外しが必要
装着したまま売却すると、次のオーナーがエンジンをかけられません。取り外し、あるいは次の車への移設が必要です。
選び方に関わるデメリット
9. 施工店によって仕上がりの差が大きい
第6章で説明したとおり、イグラの防御力は設置の質に依存します。誰でも付けられる製品であるがゆえに、施工店による差が大きくなります。
それでもイグラが選ばれている理由
デメリットを並べましたが、イグラが広く選ばれているのには理由があります。
・純正配線を切らずに施工できる
・本体が小さく、外からは装着が分からない
・他社製のセキュリティと併用できる
・導入しやすい価格帯である
・キーフォブがあれば日常の操作がほぼ不要
特に「配線を切らない」「価格が手頃」の2点は、初めてカーセキュリティを検討する方にとって大きな安心材料です。
イグラアラームにすると解決すること・しないこと
イグラアラームを選べば、デメリットの1(警報が鳴らない)は解決します。侵入時に音が鳴ることで、時間を与えにくくなります。
しかし、2(侵入は防げない)、3(発見後の耐性)、4(積載車)は解決しません。イグラアラームはあくまでイグラ2に警報を足したものであり、方式そのものは変わらないからです。
評判が分かれる最大の要因は「どこで付けたか」
イグラの評判を調べると、満足している声と不満の声の両方が見つかります。この差の多くは、製品の差ではなく、施工の差から生まれていると私たちは考えています。
同じ製品でも、設置の質が違えば結果は変わります。「イグラは良い」「イグラはだめだ」という評価は、実際には「あの店の施工は良かった」「あの店の施工はだめだった」という話であることが少なくありません。
10. 価格と予算別の選び方
ここでは価格の目安と、予算帯ごとの現実的な選択肢を整理します。価格は施工店や車種によって変わりますので、目安としてお読みください。
イグラ2/イグラ2+/イグラアラームの価格帯
・イグラ2:本体+工賃で「10万円前後」
・イグラ2+:本体+工賃で「11万円前後」
・イグラアラーム:本体+工賃で「22万円前後」
オプションを追加した場合の費用
・スキャナー:数千円から数万円程度
・キーレスブロック:数万円程度
・コンパス(GPS追跡):「10万円前後」
予算10万円台:まず何を優先すべきか
この予算帯では、イグラ2(またはイグラ2+)+ロゴスキャナーが基本構成になります。エンジン始動を止め、ロゴスキャナーで抑止する。これで「乗って持ち去られる」リスクは大きく下がります。
余裕があれば、キーレスブロックの追加を検討してください。リレーアタックとキーエミュレーターによる侵入を防げるため、車上荒らしのリスクも下げられます。第7章の早見表で「車内への侵入」の欄に「防げない」が並んでいたのを思い出していただければ、この追加の意味が分かると思います。
予算20万円台:ここで選択肢が変わる
予算が20万円台になると、状況が変わります。
ひとつの選択肢はイグラアラームです。警報機能が加わることで、イグラ2の弱点のひとつが解消されます。
もうひとつの選択肢は、アナログ式のセキュリティです。イグラアラームの価格帯は、クリフォードやパンテーラの入門クラスと重なってきます。第8章で説明したとおり、アナログ式は発見後の耐性が根本的に違います。
どちらを選ぶかは、次の3点で判断していただくのがよいと思います。
・駐車環境:屋外や集合住宅か、シャッター付きガレージか
・車種:盗難ランキング上位の車種か
・求める安心の度合い:「乗り逃げを防ぎたい」か「とにかく盗まれたくない」か
実際、私たちの店舗でも、イグラアラームの価格をお伝えしたうえで方式の違いを説明すると、アナログ式に変更される方が多くいらっしゃいます。逆に、日常の使い勝手や配線を切らないことを重視してイグラアラームを選ばれる方もいます。どちらも正しい選択です。大切なのは、違いを理解したうえで選ぶことです。
予算にゆとりがある場合の構成
アナログ式のセキュリティを軸に、キーレスブロックやGPS追跡を組み合わせる構成になります。「侵入を防ぐ」「始動を防ぐ」「持ち去られても追跡できる」を揃えることで、守備範囲の穴を最小限にできます。
なぜ店によって工賃が違うのか
イグラの工賃は、店によって幅があります。その差の多くは、設置にかける時間と手間の差です。
第6章で説明したとおり、イグラは設置の質が防御力を決めます。発見されにくい位置に、車両構造を理解したうえで設置するには、それなりの時間と技術が必要です。工賃の安さだけで選ぶと、その分が削られている可能性があります。
被害に遭った場合に実際にかかる費用
セキュリティの費用を「高い」と感じる方は多いと思います。比較のために、被害に遭った場合の費用も考えてみてください。
車両そのものの損失に加え、車内を荒らされた場合の修理費、ガラスやドアの交換費、保険を使った場合の等級ダウンによる保険料の上昇、そして買い替えにかかる時間と手間。盗難までいかなくても、車上荒らし一回で数十万円の損害になることは珍しくありません。
セキュリティの費用は、これらと比較して判断していただくのが適切だと思います。
お車と駐車環境に合わせて、最適な構成とお見積りをご提案します。
11. 取り付けはどこに頼むべきか
イグラは「どこで付けるか」で結果が変わる製品です。この章は、この記事の中で最も実践的な内容になります。
前提:イグラは専門知識がなくても取り付けられる製品
まず、事実としてお伝えしておきます。イグラは車種ごとの設定データが用意されているため、カーセキュリティの専門知識がなくても施工できます。
そのため、セキュリティ専門店だけでなく、カー用品量販店、電装店、オーディオ店など、さまざまな業種で施工されています。会員制の大型店で販売されているのも、この「施工の敷居の低さ」があるからです。
これはイグラの欠点ではありません。むしろ、これだけ普及した理由です。
それでも仕上がりに差が出る理由
しかし、「付けられる」ことと「適切に付けられる」ことは別です。同じイグラでも、施工店によって仕上がりに差が出る理由は、大きく3つあります。
1つめは、設置場所の選定です。第6章で説明したとおり、イグラの防御力は「システムが発見されるまでの時間」に依存します。分かりやすい場所に設置されていれば短時間で見つかりますし、車両構造を踏まえた場所に設置されていれば、見つけるのに手間がかかります。どこに設置するかで、結果は大きく変わります。
2つめは、作業にかける手間です。「何時間かけたか」だけでは判断できない、という点に注意が必要です。慣れた施工者であれば、数時間でかなり発見されにくい位置に設置できます。一方で、同じ数時間で簡単な場所に設置して終える、ということもできてしまいます。作業時間の長さと仕上がりの質は、必ずしも比例しません。
3つめは、その車種の構造を理解しているかどうかです。同じ車種であれば、イグラを接続する箇所は基本的に同じです。しかし、その車種の内装構造、配線の取り回し、どこが分解されやすく、どこが分解されにくいか。こうした知識があるかどうかで、同じ接続箇所からでも設置の質は変わります。
施工店を選ぶときに確認したい5つのこと
1. イグラ以外のセキュリティも扱っているか
イグラだけを扱っている店は、セキュリティ全般の知識が限られている可能性があります。複数の方式を扱っている店であれば、比較したうえでの提案ができます。
2. アナログ式のハイエンド製品の施工実績があるか
クリフォードやパンテーラのようなアナログ式は、施工データが公開されておらず、店の技術力に依存します。これらを扱えるということは、車両構造とセキュリティの両方に知識があることの裏付けになります。
3. セキュリティを何年扱っているか
イグラの普及は比較的最近のことです。イグラ以前からセキュリティを扱ってきた店は、盗難手口の変遷と、それに対する対策の蓄積を持っています。
4. 設置場所の考え方を説明してくれるか
具体的な場所を教えてもらう必要はありません。ただ、「なぜその設置が有効なのか」を説明できる店とできない店では、考えて施工しているかどうかが違います。
5. 施工後のサポート体制があるか
PINコードの再設定、キーフォブの追加、乗り換え時の移設など、施工後の対応が必要になる場面は必ずあります。その際に相談できる体制があるかを確認してください。
なぜ「ハイエンド製品を扱っているか」が判断材料になるのか
5つのうち、特に2点目について補足します。
イグラは設定データに従えば施工できます。しかしアナログ式は、その車種のどの回路をどう処理するかを、店が自分で判断し、自分の技術で施工しなければなりません。
つまり、アナログ式を扱っている店は、車両の回路構造を理解している店です。その理解は、イグラを設置する際にも活きます。「どこが発見されにくいか」「どこが分解されにくいか」は、車両構造を知っているからこそ判断できることだからです。
量販店・コストコで購入する場合の考え方
量販店や会員制店舗でイグラを購入すること自体は問題ありません。価格面のメリットもあります。
ただし、「購入」と「施工」は分けて考えていただきたいと思います。本体を購入した後、どこで施工するかは選べます。持ち込み施工を受け付けている専門店もあります(受け付けていない店もあります)。
購入場所と施工場所を分けることで、価格と施工の質の両方を取ることも可能です。
施工店選びチェックリスト
□ イグラ以外の製品も扱っている
□ クリフォード・パンテーラなどアナログ式の施工実績がある
□ カーセキュリティの取り扱い歴が長い
□ 設置の考え方を説明してくれる
□ 施工後のサポート窓口がある
□ 工賃の内訳を説明してくれる
□ 自分の車種の施工実績がある
ミラージュオートアラームは、イグラからクリフォード・パンテーラまで複数の方式を扱い、比較したうえでご提案しています。持ち込み施工についてもご相談ください。
12. 駐車環境別・車種別の推奨構成
最後に、実際の構成を検討するための目安をお伝えします。
屋外の月極・コインパーキング中心の場合
最もリスクの高い環境です。人目が届きにくく、窃盗側が時間をかけて作業できます。
イグラを選ぶ場合は、スキャナーとキーレスブロックの併用を強くおすすめします。予算が許すのであれば、警報機能のあるイグラアラーム、あるいはアナログ式を検討してください。「時間を与えない」ことがこの環境では重要になります。
自宅ガレージ・シャッター付きの場合
物理的な障壁があるため、屋外に比べてリスクは下がります。
イグラ2+スキャナーの基本構成でも、一定の効果は期待できます。ただし、シャッターがあっても盗難は起きています。ガレージの構造や周辺環境によっては、追加の対策を検討してください。
集合住宅で警報を鳴らしたくない場合
イグラ2の「警報が鳴らない」という特徴が、この環境では長所になります。誤作動で近隣に迷惑をかける心配がありません。
ただし、鳴らない分だけ時間を与えることになりますので、キーレスブロックで侵入自体を防ぐ構成をおすすめします。
狙われやすい車種の場合
ランドクルーザー250/300、アルファード・ヴェルファイア40系、レクサスLX/RXなど、盗難ランキングの上位に入る車種は、それだけ狙われる前提で対策を考える必要があります。
これらの車種については、イグラ2単体での運用はおすすめしません。最低でもキーレスブロックの併用、できればイグラアラームまたはアナログ式の検討をおすすめします。
車種ごとの具体的な施工事例は、別途施工事例ページで紹介しています。
選び方フローチャート
Q1. とにかく乗り逃げだけ防げればよい → イグラ2+スキャナー
Q2. 車上荒らしも防ぎたい → Q1にキーレスブロックを追加
Q3. 侵入されたら音で知らせたい → イグラアラーム
Q4. 発見されても解除されにくい構造がよい → アナログ式(クリフォード・パンテーラ)
Q5. 持ち去られても追跡したい → GPS追跡(ココセコム、コンパス4G)を追加
13. イグラの使い方とトラブル対処
すでにイグラをお使いの方、これから使う方に向けて、よくあるご相談への対処を簡潔にまとめます。
基本の使い方
キーフォブを携帯していれば、乗り込んで通常どおりエンジンを始動するだけです。キーフォブがない場合は、PINコードを純正スイッチで入力するか、スマートフォンアプリで認証します。
PINコードを忘れたとき
施工店にご相談ください。再設定の手続きが必要になります。PINコードは、施工時に控えを渡されているはずですので、まずそちらをご確認ください。
キーフォブの電池切れ・紛失・追加登録
電池が切れた場合は、PINコードで認証すれば運転できます。電池交換は市販のボタン電池で対応できます。
紛失した場合は、悪用を防ぐために施工店で再登録を行ってください。追加登録も同様です。
バッテリー上がり・バッテリー交換のとき
バッテリーが上がっても、イグラの設定が消えることは基本的にありません。ジャンプスタートやバッテリー交換後も、通常どおり認証すれば始動できます。
車検・ディーラー入庫のとき
整備工場やディーラーがエンジンを始動できるよう、入庫前にサービスモードに切り替えるか、PINコードを伝える必要があります。事前に施工店に方法をご確認ください。
乗り換え・売却のとき
装着したまま売却すると、次のオーナーがエンジンをかけられません。必ず取り外しをしてください。次の車に移設できる場合もありますので、施工店にご相談ください。
詳しいご相談は、お問い合わせフォームからお願いします。他店で施工されたイグラについてもご相談を承ります。
14. よくある質問
Q.イグラを付ければ盗難保険は安くなりますか?
保険会社や商品によって扱いが異なります。イモビライザー装着を割引の条件としている商品もありますが、対象となる装置の範囲は各社で異なるため、ご契約の保険会社に直接ご確認ください。
Q.クリフォードやパンテーラは配線を弄るそうですが、あとから配線の故障などは起きませんか?
配線を弄ることによるトラブルは、私たちの施工においてはございません。熟練したインストーラーが担当しますのでご安心ください。なお、デジタル式・アナログ式を問わず工業製品である以上、故障の可能性はわずかながらありますが、その際は私たちがサポートします。
Q.施工後にトラブルがあった場合、どこに連絡すればよいですか?
施工を行った私たちにご連絡ください。製品の不具合、設定の変更、キーフォブの追加など、施工後のご相談はすべて承っています。
Q.他店で付けたイグラの点検・やり直しはお願いできますか?
承っています。設置状況を確認し、必要に応じて再設置やオプションの追加をご提案します。
Q.イグラとパンテーラ、両方付ける必要はありますか?
第8章で解説したとおり、アナログ式が適切に施工されていれば、イグラを追加することで得られる上乗せは限定的です。予算を「両方付ける」ことに使うより、「何を守りたいか」から逆算した構成にすることをおすすめします。
Q.予算が限られていますが、何から始めるべきですか?
まずイグラ2+スキャナーで「乗り逃げを止める」「見える印を付ける」の2点を押さえてください。その後、予算に応じてキーレスブロックを追加する順序が現実的です。
Q.納車前に取り付けできますか?
可能です。納車前に施工することで、納車直後の盗難リスクを避けられます。ディーラーとの調整が必要な場合はご相談ください。
(注)混み合っている場合がございますのでお早めにお問い合わせください。
Q.遠方からでも施工をお願いできますか?
奈良本店には近畿一円から、東京支店には関東一円からご来店いただいています。お車の預かり期間や交通手段について、事前にご相談ください。
15. ミラージュオートアラームについて
創業29年・累計施工25,000台以上
ミラージュオートアラームは、奈良県天理市に本店を置くカーセキュリティ専門店です。創業から29年、累計25,000台以上の施工を行ってきました。Googleの口コミ評価は4.9です。
1台あたり2泊3日〜のお預かりで施工(内容により変動)
日本唯一のCLIFFORD正規販売代理店として、複数方式を扱っている
私たちは、アナログ式の代表格であるCLIFFORDの、日本で唯一の正規販売代理店です。同時にパンテーラ、そしてイグラも取り扱っています。
デジタル式・アナログ式の双方を扱っているからこそ、比較して提案できる
この記事でイグラの弱点を率直にお伝えできたのは、私たちがイグラだけを売る立場ではないからです。デジタル式とアナログ式の両方を扱い、両方の施工を長年行ってきたからこそ、それぞれの守備範囲を比較したうえでご提案できます。
イグラが最適なお客様にはイグラを、アナログ式が最適なお客様にはアナログ式を。お客様の車、駐車環境、予算、求める安心の度合いに合わせて、正直にご提案することを大切にしています。
奈良本店・東京支店のご案内
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イグラについてのご相談、お見積り、他店施工車両の点検まで、お気軽にお問い合わせください。
奈良本店:0743-67-8181(10:00〜19:00 日・月定休)
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