アルファード/ヴェルファイアの盗難手口は年々巧妙化し、従来の対策だけでは守りきれない事例が増加しています。

高速のサービスエリアで5分トイレ休憩中に盗まれたケースもあり、一度盗難されてしまうと愛車を見つけ出すことは困難です。

本記事では、これまで20,000台以上の車両に盗難対策を施してきたカーセキュリティ専門店のオーナーとして、経験と実績を基に窃盗犯の最新手口から具体的な対策事例まで2025年最新の情報を分かりやすく解説します。

あなたの大切な愛車を守るための必読情報をぜひ最後までご覧ください。

なお、当店ではアルファード/ヴェルファイアへのセキュリティ施工や、盗難対策の相談も行なっております。お気軽に奈良本店、あるいは東京支店へお問い合わせください。

アルファード/ヴェルファイアは盗難されやすい

まず、第一にアルファード/ヴェルファイアは盗難件数が非常に多い車種です。

メーカー 車名(通称名) 令和6年上半期 盗難台数 令和5年上半期 盗難台数
トヨタ ランドクルーザー 590 256
トヨタ アルファード 303 358
トヨタ プリウス 287 260
トヨタ レクサスLX 112 152
トヨタ レクサスRX 80 34
トヨタ ハイエース 60 77
ダイハツ ハイゼット 55 54
トヨタ クラウン 44 50
トヨタ レクサスLS 44 41
スズキ キャリイ 44 52

出典:警察庁生活安全企画課 令和6年上半期における車名別盗難台数の状況

令和6年上半期と令和5年上半期を比べると、若干減少傾向にあるものの、以前として盗難件数が多い車種です。

ネット上でもアルファード/ヴェルファイアを盗難されてしまった悲痛な声が何件も見つかります。

アルファード/ヴェルファイアが盗難されやすい理由は内外装が豪華で車内空間が広いことから中古市場での需要が高く、転売価値が非常に高いためです。特に海外でも人気があり、ターゲットになる可能性が高くなります。

アルファード/ヴェルファイアの盗難手口

では、実際にアルファード/ヴェルファイアはどのような手口で盗難されるのか、2025年現在で多発している盗難方法を解説していきます。

リレーアタック

リレーアタックとは、特殊な装置を使って車のスマートキーから発信される微弱な電波を増幅し、その信号を車までリレー(中継)する手口です。

これにより、車はあたかも正規のキーが近くにあるかのように認識し、ドアを解錠、エンジンを始動させることが可能になります。

この手口は、特に

・自宅玄関付近にキーを置いている
・駐車場が道路に面している
・夜間、防犯カメラやライトがない環境

上記のような場合に狙われやすいです。

リレーアタックの盗難を防ぐためには

・スマートキーの電波を遮断するケースに入れて保管する
・キーを車の近い玄関ではなく、別室に保管する
・スマートキーの電波をオフにする

これらの対策を講じることで、被害を減らすことが可能です。

canインベーダー

CANインベーダーは、車内でエンジン始動やドアの解錠を管理している「CANバス」という通信システムを狙う方法です。

通常、各電子部品がこのネットワークを通じて情報交換しているのですが、セキュリティ面で完璧ではありません。窃盗団は、専用の機器を使ってこのCANバスに偽の指示を送ることで、正規のキーがなくてもドアを開けたりエンジンを始動させたりできるようにします。

つまり、実際にはキーを使わずに車を操作できる可能性があるということです。

これに対抗するため、メーカーはソフトウェアのアップデートなどで防御策を強化していますが、完全にリスクを排除するのは難しいため、車所有者も常に最新情報をチェックし、追加の防犯対策を講じることが重要です。

ゲームボーイ(キーエミュレーター)

「ゲームボーイ」と呼ばれるキーエミュレーターは、正規のスマートキーの信号をコピーし、あたかも本物のキーのように車を操作できる装置です。窃盗団がこの装置を使用すると、車の鍵がなくても簡単にドアの解錠やエンジンの始動が可能になります。

この手口の特徴は、リレーアタックやCANインベーダーとは異なり、実際に車の電子キー情報を完全に再現できる点にあります。

通常、窃盗犯はディーラーなどの正規ルートを通じてキー情報を取得することはできませんが、不正なツールを使うことで、正規キーのデータを解析・複製することが可能になります。

この手法は、一度エミュレートされたキーが作成されると、他の車両でも活用ができるため、オーナーが知らない間に車両が盗まれるリスクが格段に上がります。

アルファード/ヴェルファイアの純正セキュリティ内容

では、アルファードやヴェルファイアに標準装備されている純正セキュリティ対策について詳しく解説します。盗難抑止のためにどのようなシステムが搭載されているのかを確認し、効果を見ていきましょう。

セキュリティシステム

セキュリティシステムは、近年増加する「CANインベーダー」に対抗するために設計された、トヨタ純正のオプション防犯システムです。このシステムは、車両の通信ネットワークであるCAN(Controller Area Network)に対する不正アクセスを防ぎます。

しかし、リレーアタック、ゲームボーイですべて突破されます。

オートアラーム

このシステムは、車内への不正な侵入を検知し、即座に警報音(クラクション)を発して警報します。車種により車両の持ち上げ、窓ガラスの破損なども検知します。
警報が鳴ることで、窃盗犯は迅速に犯行を中断せざるを得ず、被害の拡大を未然に防ぐ効果があります。

しかし、リレーアタック、CANインベーダー、ゲームボーイですべて突破されます。

電子式イモビライザー

イモビライザーは、正規のキーや認証済みの電子デバイス以外ではエンジン始動を不可能にする不正起動防止装置です。

電子信号の制御によって、無許可で複製されたキーや改造されたデバイスによるエンジンの始動を防ぎます。

しかし、リレーアタック、CANインベーダー、ゲームボーイですべて突破されます。

T-Connectアラーム通知

T-Connectには、盗難防止機能として、GPSを利用したリアルタイムの位置追跡機能により、万が一車両が不正に移動した場合でも、正確な位置情報がスマートフォンや専用サイトを通じて確認できます。

ドアのこじ開け、車内侵入など、クルマのオートアラーム作動を検知した場合、スマートフォンにお知らせします。(車種により設定可否有)

しかし、リレーアタック、CANインベーダー、ゲームボーイですべて突破されます。

純正セキュリティだけではアルファード/ヴェルファイアの盗難が防げない理由

トヨタの純正セキュリティシステムは一通りの防犯性能を備えていますが、窃盗犯に解析され盗難されているのが現状です。

その理由の一つが「純正だからこそ盗難の手口が研究され、一気に広まりやすい」という点にあります。現状はすでに解読され攻略されています。

メーカー純正のセキュリティシステムは、すべての車両に統一された仕様で搭載されるため、窃盗団にとっては「攻略すべきテンプレート」となり得ます。

彼らは日夜、最新のセキュリティ技術を研究し、一台でも盗むことができれば、その手口を横展開して何台もの車両を狙います。

特に、アルファード/ヴェルファイアのような人気車種はターゲットになりやすいため、一度突破口が見つかると、その手法は窃盗団内で共有され、全国的に盗難被害が拡大してしまうのです。

例えば、キーエミレーター(通称ゲームボーイ)を使用されると微弱の電波を拾って突破されてしまうので、オートアラームや純正イモビライザーなどの全てのセキュリティが無効化されてしまいます。

T-Connectアラーム通知についても同様で、CAN信号で制御されているためキーエミュレーター(ゲームボーイ)を使用されると、ハンドルロックや位置検索機能も無効化されます。さらに無効化されたことの通知もスマホには届きません。

どれだけ新しいセキュリティをメーカーが開発をしても、それを突破する新たな手口が開発される「いたちごっこ」が延々と続くため、純正のセキュリティだけでは盗難を完全に防ぐことは難しいのが実情です。

最近はディーラー側でも「盗難が心配であれば独自のセキュリティ対策をつけてください」とユーザーに伝えている店舗もあるようです。

実際、当店のお客様からは純正のセキュリティのみだったアルファードやヴェルファイアが盗まれてしまったので、新しく購入した車両には絶対に盗まれない強固なセキュリティをつけたいというご要望を多々いただきます。

アルファード/ヴェルファイアに効果が薄い盗難対策

純正セキュリティに加えて盗難対策を施しても、実は十分な効果を得られないケースが少なくありません。

セキュリティメーカーが表立って語らない現実ですが、今回は忖度なしで徹底的に公開します。

窃盗団の手口は、一般の方が想像する以上に大胆かつ強引で、ありきたりな対策では簡単に突破されてしまいます。

では、具体的にどのような対策が効果が薄いのか?実際の盗難手口をもとに、注意すべきポイントをわかりやすく解説していきます。

ハンドルロック

ハンドルロックは、車両のハンドルに装着することで不正な操作を防止する物理的な対策です。

ハンドルに直接装着し、不正な操作を物理的に防ぐハンドルロックは、一見すると効果的な防犯対策に思えます。

しかし、実際には窃盗犯たちはノコギリや電動工具を駆使し、ハンドルそのものを切断するという大胆な手口を取り、わずか数十秒で解除されてしまうケースも珍しくありません。

そのため、ハンドルロック単体では防犯効果は期待できないのが現実です。

タイヤロック

タイヤロックは、車両のホイールに装着して車を動かせなくする物理的な防犯アイテムです。

窃盗犯は、そのまま走行し、ホイールロックそのものを破壊してしまうため、これも単独での対策としては不十分です。

ボディカバー

ボディカバーは車体を覆い隠して車両を目立たなくすることで、一見効果的に思われますが盗難被害の抑止にはなりません。

カバーの内側に侵入されてしまうと、逆に窃盗犯にとっては作業がしやすい環境になってしまいます。

外部からの視線を遮るため、工具を使った作業が容易になり、時間をかけてセキュリティを突破して盗難をする機会を与えてしまうことになります。

新型アルファード/ヴェルファイアの盗難対策おすすめ

では、実際に新型アルファードやヴェルファイアを守るための効果的な盗難対策を紹介します。大切な愛車を守るため、最適な対策を把握しましょう。

クリフォードorパンテーラを取り付ける

そもそも盗難犯がエンジンをかけるには、イグニッションとセルモーターの両方を動作させる必要があります。クリフォードとパンテーラは唯一2系統(セルモーター系統とイグニッション系統)を制御して、不正にエンジンを始動することを阻止(通称ダブルイモビライザー)できます。

このダブルイモビライザーはセキュリティ本体を外し、なおかつ手作業で複雑なセキュリティシステムのアナログ配線を復元しなければエンジンがかからなくなるため、盗難はほぼ不可能です。

万が一、バッテリーを外されてもセキュリティの中で接続が切れているのでエンジンはかかりません。国内でこの機能を持つセキュリティはクリフォードやパンテーラのみです。

仮にクリフォードやパンテーラなどのダブルイモビライザーが取り付けられた車を盗難しようとする場合

1.セキュリティを見つける
2.セキュリティを取り外す
3.対策されている特殊な回路を復元し繋ぎ直す

という3つを警報が鳴っている間に実行しなければならず、時間と手間がかかるため、大半の窃盗団はクリフォードやパンテーラが取り付けられているアルファード/ヴェルファイアを盗難の対象から外します。(もっと手軽に盗難できる車を探します)

逆に考えると、スターターの1系統のみを制御するシングルイモビライザー装備のセキュリティだと攻略が簡単なため狙われてしまい、盗難対策としては不十分です。

窃盗団の目につかない場所に駐車

盗難防止で「窃盗犯の視界に車を入れない」ことが効果的な理由は、視界に入らない車はそもそもターゲットとして認識されないからです。

窃盗犯は効率よく獲物を見つけるために、周囲を見渡して目についた車から候補を絞り込む習性があります。

そのため、路上やオープンスペースに停めている車は自然と目につきやすく、優先的なターゲットになってしまいます。

逆に、建物の影や奥まった場所、シャッターガレージの中に駐車すると、窃盗犯の視界から外れるため、候補から外れる可能性が高まります。

視界に入らなければ、わざわざ車を確認するために近づく手間が発生し、リスクが増すため窃盗犯は敬遠します。

「見せない=狙われない」というシンプルな理論が、単純かつ効果的な盗難対策になります。

まとめ

新型アルファード/ヴェルファイアは内外装の豪華さと広い車内空間から中古市場で高い人気を誇り、転売価値が高いため窃盗団のターゲットになりやすい車種です。

特にリレーアタックやECU書き換えといった高度な盗難手口が増えている現状では、純正セキュリティだけでは万全とは言えません。

物理的な対策としてハンドルロックやタイヤロックが存在しますが、これらは単体では効果が限定的です。

最も効果的な対策として2系統を制御することができるダブルイモビライザー装備のクリフォードかパンテーラを設置することです。

また、窃盗団の視界に車を入れないことも基本的な防犯対策として非常に有効です。視界に入らなければターゲットに選ばれにくく、候補から外れる可能性が高まります。

大切な愛車を守るには、純正セキュリティに加えて複数の対策を組み合わせて防御層を増やすことが重要です。視界から隠す工夫や高度なセキュリティシステムの導入で、盗難リスクを大きく軽減できます。

参考にしてみてください。
また、当店ではアルファード/ヴェルファイアへのセキュリティ施工や、盗難対策の相談も行なっております。

お気軽に奈良本店、あるいは東京支店へお問い合わせください。