このたびは当サイトにお越しいただきありがとうございます。
ミラージュオートアラーム代表の稲別 毅と申します。当店は1997年6月に創業し、累計20000台以上の車にカーセキュリティを施してきました。
私の名前を知っている方も、初めてお会いする方も、私がなぜカーセキュリティに情熱を注ぐのか。その理由をお話しさせていただきますので、よろしければ少しだけお付き合いください。
レールから外れ、父との対立
私は幼い頃から、機械を分解して組み立てるのが好きでした。プラモデルはもちろん、ラジコン、ミニ四駆…とにかく“自分の手で触れるもの”への探究心が止まりませんでした。
免許を取得し車を手に入れた私は、すぐに工具を握りました。
夜な夜なガレージにこもり、ミッションを下ろし、クラッチを交換し、サスペンションを入れ替え、車高を落とし、タイヤとホイールを履き替える。
お金がなかったので、すべて独学、すべて自力でした。
それでも、自分で組み上げた車で走り出した瞬間、胸が震えるほどの達成感を覚えたのを、今でも鮮明に思い出します。
愛車を駆って仲間たちと峠へ走りに行って、ヘッドライトに浮かび上がるカーブを読み、タイヤのグリップを感じながらハンドルを切るような、車と一体になったような感覚が、たまらなく愛おしかったです。
心の奥底で私は確信したのです。
「一生、この世界で生きていきたい」と。
けれど、私には別のレールが敷かれていました。
父が経営する工場を継ぐ者として、将来は約束されていたのです。
大学に進学したものの、わずか数日で辞め、10年間、家業に身を置きました。親の期待に応えようという気持ちがなかったわけではありません。
しかし、心はどこか冷めていました。
決められた道を歩くだけの日々。
挑戦も、成長もない世界。
私にとってそれは、ハンドルのない車を運転するようなものでした。
「このままで、本当にいいのか」
そんな思いが日に日に強くなり、ついに私は決断しました。
家を飛び出し、自分の人生を選ぶと。
当然、父との間には深い溝が生まれました。
「継がないなら、二度と敷居をまたぐな」
その言葉を突きつけられたとき、胸の奥がズキリと痛みましたが、、後悔はありませんでした。
そのとき私は、生まれて初めて自分の手で人生のハンドルを握ったのです。
アメリカでの出会いが、人生を変えた
そんな折、アメリカにカー用品の買い付けに行った時、現地のカーセキュリティ専門店と出会いました。
そこで仲良くなった店のボスが、滞在を快諾してくれて、私は数週間、彼らと寝食を共にしながらセキュリティの取り付け技術を学びました。
英語も技術も未熟だった私に、現地のプロたちは丁寧に知識を教えてくれました。その時間が、人生の転機となったのです。
「車が盗まれないように守る」
これほど明確で、人の役に立って、しかも手で覚えることに価値がある仕事に出会えたのは、奇跡のようでした。
帰国後、さっそく自分の車にセキュリティシステムを取り付け、うまくいくたびに周囲の知人にも頼まれるようになりました。
そして1997年、「ミラージュオートアラーム」を立ち上げました。
車好きの、車好きによる、車好きのための店
創業当時、ランクル80やセルシオといった車種が盗難に遭いはじめ、多くのオーナーが不安を抱えていました。
日本にはカーセキュリティ専門店はほとんど存在せず、カーオーディオ屋さんが片手間でやっているような状態。
そんななかで弊社がセキュリティを施したお客様の口コミや、私の発信したホームページやコラムの内容が、全国のカークラブの中で話題となり、関東をはじめ日本中からお客様がご来店くださるようになったのです。
お客様が私の技術力を評価してくださり、「稲別さんのセキュリティのおかげで、盗難が未遂に終わりました!盗難が防げました!」とよろこびの声を口々に広めてくださり、「稲別さんに取り付けてほしい!」と遠方から来てくださる方がどんどん増えていきました。
遠方からお越しくださるお客様の負担を少しでも減らせるように考え、2004年8月、ミラージュオートアラーム東京店を開業しました。
2006年からは「クリフォード」日本正規総輸入元として米国Directed Electronics社(現Voxx International社)と独占販売契約を結び全国のカーセキュリティショップ様への卸・指導も行っており、新たに取り扱いを始める店舗には、直接講習を行い、正しい知識と技術を伝えています。
誠実で熱意ある素晴らしいスタッフに恵まれ、創業から30年近く経った現在も、ミラージュ本店、東京店を営業させていただけますことはありがたく、「ミラージュを」と思ってくださるお客様にただただ感謝の毎日です。
さて、ミラージュでは、1997年の創業以来、すべてのお客様の取り付け履歴を“カルテ”として保存しています。
車種、年式、取り付け日、使用製品、オプション、暗証番号、配線方法など、すべてです。
仮に私が不在でも、お客様の不安や不便が最小限で済むように、東京店や他のスタッフがすぐに対応できるようデータを管理しています。
「以前取り付けたんだけど、まだ記録あるかな?」
そんなお問い合わせにも、その場でパッとご案内できます。
中には「2002年にスカイラインGT-Rに取り付けましたよね」とお伝えすると、お客様のほうが驚かれることもあります(笑)。
また、私は経営者でありながら、今でも現役のメカニックのため、今も現場の最前線に立ち続けています。
新型車が出たときは、自分の手で分解し、構造や弱点を解析しています。
例えばどこにサイレンを設置すれば音が大きく聞こえるか、どの位置にセンサーを配置すれば反応精度が高くなるか、など
“その車にとって最も防犯性が上がる有効な取り付け方”
を導き出すのが、私の仕事です。手を抜くことなどはありえない、細部にわたるまで、一切の妥協のない仕事が私のポリシー、ミラージュの精神です。
私の思いを受け継ぎ、確かな仕事をしてくれる優秀なスタッフとともに、これからもお客様の愛車を守るプロ集団として、この身を捧げてまいります。
最後に
私がこの道に入ったのは、「車が好きだったから」ですが、今はそれだけではありません。
「車を安心して持つことが難しい時代に、それでも車を守りたいと願う人たちの力になりたい」
そう本気で思っています。
盗難は、たった1度でも、日常を壊してしまいます。けれど、正しい製品と、正しい取り付けがあれば、防げる被害もあります。
だからこそ、私たちは「目立たない仕事」に命を懸けています。ミラージュに頼んでよかった。そう思ってもらえる1台を、今日も、明日も、積み重ねていきます。
これは私がアメリカで教わった「プロの心意気」への恩返しでもあります。業界全体の水準を高めることも、私たちの責任だと思っています。
ミラージュを創業してから数年後には父との確執も溶け、いつか、お店にお客様が来店しているところを見て、父はこう言ってくれました。
「俺の夢だった光景を、お前が実現してくれてよかった」と。
今、私がこの仕事を続けている理由は、あの時の言葉にあるのかもしれません。
車が好きな人に、安心して車を楽しんでもらいたい。
それがミラージュの原点であり、これからも変わらぬ想いです。
当店で目指しているのは「盗まれないこと」ではありません。
私はこの仕事を通じて、お客様に「安心して夜ぐっすり眠れる日常」を届けたいと本気で思っています。
そのためにできるすべてを、私は現場で、工具と頭と手を使って向き合ってきました。
お客様の愛車と安心を、どうか私たちにお任せください。
株式会社ミラージュオートアラーム
代表 稲別 毅